当塾では、不登校でお家で勉強をがんばっているお子さまの学習サポートを提供しております。
お子さま、保護者さまにとって、現状より少しでも最適な生活を送っていただける一助になれればという想いから、当塾で行なっているサポートについて以下で紹介させていただきます。
田中 凌太くん(仮名:中1)のサポート実例
5月に入塾してくれた田中くん(仮名:中1)は、1学期の中間テストのころからだんだんと学校に行くことが難しくなってきました。
そして、7月は不登校に。
しかし、当塾での夏期講習には無遅刻無欠席で参加してくれました。
その後、2学期になると登校するようになったのですが、学校でお友だちとのちょっとしたいさかいをきっかけに、再び不登校になったそうです。
田中くんは、夏期講習の取り組みからもわかるように、本来はとてもマジメな生徒です。
しかし、私(塾長)から見て、マジメであるがゆえにじっくり物事を深く考えすぎ、また自分の気持ちを的確に表現することが苦手な面もあって、日常やるべきさまざまなことに手が回らなくなっているように感じていました。
田中くんのいいところが、ときに彼を苦しめているようでもありました。
後から田中くんが教えてくれたのは、一時期は考えることを放置したくて考えない時間を作るために読書などに没頭していたこともあったそうです。
“やらなきゃいけない”が爆発
人は、誰しも個性があります。
できることや得意なことは、人それぞれ違います。
田中くんは、マジメで高い集中力を発揮できる一方で、まわりと同じことをするのがあまり得意ではなかったのかもしれません。
だけど、持ち前のマジメさゆえに、自分の気持ちにガマンをしていろいろなことを“やらなきゃいけない”とがんばり過ぎていたのだと思います。
- 宿題をやらなきゃいけない
- みんなと同じことをやらなきゃいけない
- お父さん、お母さんの言うことを聞かなきゃいけない
- 朝起きなきゃいけない etc
例えば、マラソンが得意な人であれば、どれだけ走っても苦痛ではないかもしれません。
だけど、苦手な人がマラソンを走りつづけることは苦痛でしかないと思うんですね。
それと同じで、みんなと同じことをやるのが苦痛じゃない人もいれば、苦痛に感じる人もいます。
そして、上記に挙げたような、どちらかというとみんなが当たり前にやれることが苦手なお子さんは、それらを“やらなきゃいけない”、“できなきゃいけない”とまわりのお子さん以上に強く思ってしまう傾向があります。
その結果、田中くんは、ある日“やらなきゃいけない”が限界を超えて爆発したような状態になってしまったのだと思います。
朝、起きなきゃ“いけない”とわかっていても、起きられなくなってしまったんですね。
1日過ごせたほうがいいんじゃない?
田中くんが不登校になってから、彼と話す機会がありました。
そのとき、田中くんとこんな会話をしたんです。
田中くん:「朝、起きられないんです」
私:「何時に起きてるの?」
田中くん:「11時ぐらい」
私:「本当は、何時に起きたいの?」
田中くん:「8時ぐらいですかね?」
私:「なんで?」
田中くん:「え、だって朝、みんな学校に行っている時間には起きなきゃいけないかなと…」
学校に行かなくなった時点でも、彼は起きなきゃ“いけない”と思っていたんです。
そしてこの後、私が発した言葉に、彼はとても驚いていました。
私:「それ(8時に起きること)、もうやめたら?」
田中くん:「え?いいんですか?」
私:「うん、11時から起きて、その1日を明るく過ごせるほうが幸せなんじゃない?」
田中くん:「え?それでいいんですか?」
彼のそのときのうれしそうな笑顔から、私は「とても苦しい想いを抱えていたんだなと」強く感じました。
必要なのは、安心感
たしかに、朝起きなければ生活リズムが崩れることも懸念されます。
ですが、率直に申し上げれば「朝起きないと生活リズムが崩れる(からよくない)」という考えは、ともするとまわりの価値観をお子さまに押しつけることになりかねません。
もちろん、保護者さまの「ずっとそうなるんじゃないか?」という危機感も理解できます。
そして、お子さまのことを大切に思う愛情から、つい心配する言動をなさることも理解しております。
ただ、不登校(または不登校のリスクをはらんでいる)のお子さまは、そのような言動が愛情とは感じられない状態であることをご理解いただきたく存じます。
むしろ「生活リズムが崩れるから、朝は起きなきゃ“いけない”」と、別の新たな“やらなきゃいけない”に苦しめられることになってしまうこともあります。
これまでお子さまは“やらなきゃいけない”を、マジメにガマンしてがんばってきました。
だからこそ、今、必要なのは不登校のお子さまが心から安心できる環境や言葉がけを与えてあげることだと私は思うんですね。
そこで私は、田中くんに「朝は、起きなくてもいい」という安心感を与えてあげるべく、先のような言葉を伝えた次第でした。
お子さまを支える“魔法の言葉”
くり返しますが、保護者さまがお子さまのことを心配されたり、将来を不安に思われるお気持ちは十分にわかります。
だとするなら、ぜひ、お子さまにつぎのような言葉がけをしてあげてほしいと思います。
「大丈夫だよ、好きなように過ごしてごらん」
このような言葉は、お子さまに「お父さん・お母さんは、自分の気持ちをわかってくれている」と感じさせます。
そして、自分の気持ちをわかってくれると感じられることが「支えられている」、「心配してもらっている」という気持ちにつながります。
今こそが、人生でとても貴重な時間
子どもたちの世界は、大人に比べるととても狭いものです。
そのため、不登校になることで自分の人生に大きく暗い影を落としてしまったように感じるお子さまもいるかもしれません。
しかし、保護者さまならおわかりのとおり、世の中には不登校を経験したからこそ自分の価値や人生をよりよいものにしている人がいます。
多くの子どもたちは、公立の中学、高校に進学して大学に行くのが一般的です。
だけど、不登校をきっかけに自分の目の前の人生に敷かれていたレールから外れることで、より幸せな自分らしい選択肢に出逢えるチャンスを手にすることができるという面もあります。
ぜひ、お子さまには、自分の目の前に輝かしい未来への選択肢が広がっていることに気づいてもらいたいと思います。
実際に、田中くんは自分が何が好きで将来、どうしたいのか?を考えた結果、彼は将来、海外に留学するという新たな目標が生まれてきました。
そのように、自分と向き合い、自分のことを深く知ることができる機会は、人生においてとても大切で貴重な時間であることを、保護者さまならおわかりではないでしょうか。
このままでいいよ
とはいえ、保護者さまの本音としては「学校に行ってほしい」かもしれません。
もちろん、それは保護者さまのご意見としてお持ちであることは構わないと思います。
ただし“大人が考える正論”によって、お子さまがどんどん疲弊し、心が蝕まれてしまうことも忘れないでいただきたく存じます。
子どもたちは「こうしたほうがいい」、「こうしないといけない」ということを、十分にわかっています。
ですが、むしろ今は「このままでいいよ」という言葉や、そのような言葉を与えてくれる存在が、お子さまの人生を浮上させ、羽ばたくきっかけになります。
同じ目線で、同じ方向に向かう
「私なりに、子どものことを考えて高屋先生がおっしゃるようないいと思った言葉をかけているんです。なのに、どんどん話を聞いてくれなくなったり、塞ぎ込んだり、当たられるようになってしまいました。
親として、安心させるつもりであれこれやっているのですが、どうも逆効果になっているようでどうしたらいいかわかりません」
最適な言葉がけは、タイミングによって変わります。
お子さまを、上向きにさせてあげるだけが言葉がけではないと私は思うんですね。
お子さまが下を向いているときには、同じ目線で下に向かってあげることもときには必要です。
例えば、田中くんは自分と向き合い、留学という将来の目標を見出しました。
ですが、“何もしたくない”と感じているタイミングもあったんですね。
そのようなときに、将来のことを言われたり、考えようとさせられることは、お子さまにとっては大きなストレスになります。
また、不登校になった時点で「やらなきゃいけないことができていない、今の自分は好きじゃない」と思ってしまうお子さまもいます。
この段階は、気持ちが下に向かっているので、上向かせようとすることはかえって逆効果になります。
お子さまにかぎらず、誰でも心身ともに上向いてることばかりではないですよね。
上向きだけの人生って、つらいこともあるんです。
ちなみに、このようなタイミングでは「やらなきゃいけないことなんて、何もないんだよ」といった言葉をお子さまは求めていることが少なくありません。
いいところを見つけて、ほめてあげてください
「下に向かうってことは、親は何もせずに放任するってことですか?」
たしかに、見守ってあげることも大切です。
しかし一方で「今、すでにあるものや、できていること」に意識を向けさせてあげることも必要かと思います。
不登校のような状況に置かれているお子さまは“ないもの”に意識を向けがちな傾向があります。
学校に行けてない、提出物が出せてない、朝起きられてないといったことですね。
人は、物事がうまく行っているときには欠けていることが気になりませんが、心が疲れているときには欠けているところしか見えないということがあります。
しかし、人は誰しも完璧ではありません。
ですので、欠けているところを挙げればキリがありません。
そして、ないものに意識が向くほどつらくなってしまうものです。
だからこそ、今あるもの、持っているもの、できていることに意識を向けることが大切です。
そこで、保護者さまにお勧めしたいことは、毎日ひとつお子さまのいいところを見つけてほめてあげてください。
今、あるものでお子さまの心を満たしてあげてください。
すでにあるもので満たす
ちなみに、私は田中くんと一緒に「今、持っているもの」を書き出すことをやりました。
「家」、「サッカーボール」、「シューズ」、など、思いついたものをバンバン書き出しました。
そんなことでいいの?と思いますが、それも「今、あるもの」に違いありません。
当たり前すぎて、気づいていないことに気づくのが大切です。
そうして、すでにあることに目を向けるほどに心が満たされます。
今のそのままが素晴らしいと、感じられるようにもなります。
そして、心が“ふわっと明るく”なることが増えます。
例えば、青空を見たときなどに「今日も学校に行けなかったな」と思っていたのが「今日いい天気だなぁ」と感じられるようになるんですね。
こうした取り組みの先に、誰かと比べて欠けていると感じるのではなく、今あるものを活かす選択肢を見つけられるようになります。
ちなみに、私は田中くんとこうした「あるもの探しのワーク」を何度も行いました。
すると、何度目かのワークの最後に、彼がボソッとこう言ったんです。
「いつもごはんを作ってくれる、母がいます」
あるものに目を向けて行くと、ちゃんと身近なことでも感謝の気持ちを込めて「いつもごはんを作ってくれる、母がいます」と言えるんだなと、私としてもうれしくなりました。
子どもたちには、すでに未来を切り拓く力があります
「すでに、そのままで満たされている」
このことに気づくと、子どもたちはまわりの大人がどうこうしなくても勝手に自分の人生について前向きに行動を起こしはじめます。
そのように自発的に変化できるよう、まわりの大人はお子さまの話を聞いてあげて、認めてあげて、支えてあげて、待ってあげることが大切です。
そして、ここまでお伝えしてきた一連の支援は学習塾によるサポートが最適だと私は考えております。
その理由としては、学習を通じてお子さまの心を満たしてあげる機会および環境を提供しやすいからです。
もちろん、不登校のお子さまの学習支援をしている学習塾は、現状あまり多くはありません。
そこで、上記の考えに基づき、当塾ではどのような取り組みを行なっているのか?をお伝えさせていただきます。
不登校のお子さまをサポートする高屋塾とは?
札幌市豊平区にあります私どもの学習塾「高屋塾」は、個別指導と集団授業を組み合わせ、お子さまの学力に合わせた授業を受けていただくことができます。
上記の写真は、中学生の授業風景で授業のはじめに行なっているホームルームの時間です。
実は当塾は、学年・学力レベルがバラバラの生徒たちが同じ時間帯に集まり、授業を受けているんです。
ホームルーム後からは、生徒たちは個別学習でそれぞれに必要な内容を勉強します。
そうして自分に合ったレベルの学習によって「この問題できた!」、「この単語覚えられた!」、「自分(勉強)できるじゃん!」といった自信を感じる機会およびサイクルを短い期間でたくさん回すことができます。
その結果、家にじっといるよりも塾に行って勉強するほうが気持ちが上向きやすく、ふわっと明るくなることが多くなります。
また、ご自宅からオンラインで授業に参加できたり、時間をずらした通塾、さらには時間が許せばご自宅での勉強サポート、進路相談もお受けしております。
ただし、先にもお伝えしましたとおり、お子さまが下に向かっているときに塾に行かせようとなさるのはお控えください(逆効果になります)。
お子さまが安心して、自発的に前向きな行動を起こそうとしはじめたときに、選択肢のひとつとして当塾をお勧めいただくのが望ましいかと思います。
最後に、ご家庭だけでがんばらないでください
まわりに不登校を経験された方がいらっしゃらなければ、どのように対処すればいいかは難しいものだと思います。
誤解を怖れず申し上げれば、不登校はご家庭だけでは解決できないことかと思います。
ですので、当塾では保護者さまからのご相談にLINEで随時、お応えをしております。
そして、すでに他の子どもたちとは違う道を歩いているお子さまを元の道に戻すことは、負担になりかねません。
ですので、今の状況のままで、今までとは違う“つぎの道”を探すこともひとつの選択肢としてお考えいただきたく存じます。
どうぞ、まわりの協力を仰ぎながら、お子さまに合った道を見つけてあげてください。
当塾としましても、お子さまにとってのよりよい道を一緒に探すサポートをさせていただければと思っております。
もし、お力添えが必要だと感じられましたら、まずはご連絡ください。
お子さまと保護者さまの、心が“ふわっと明るくなる”お手伝いができれば幸いです。
最後まで、ご覧くださいまして感謝いたします。
塾長プロフィール
塾長:高屋 裕明(たかや ひろあき)
学習習慣化の専門家
- 札幌市出身
- 北海学園大学法学部卒
- 学習指導歴15年
- 指導生徒数1,000人以上
- 脳科学と心理学を取り入れた学習習慣形成のプロ
- 人をやる気にさせる「ペップトーク」認定講師
自身が通っていた大学受験予備校の講師との出会いから、学習塾講師を志す。
大学時代から、アルバイトで学習塾講師として働きはじめ、卒業後は群馬県にある大手学習塾に就職。15年間で1,000人以上の生徒たちを志望校合格に導く。つねに、生徒たちの言葉を傾聴することを心がけ、成長を見守ることができる学習塾講師の仕事にやりがいを感じる日々を送っている。
ただ受験に必要な知識を教えるだけでなく「何のために生まれて、何をして生きるのか?」を一緒に探すドリームサポーターでありたいという強い想いから、2022年生まれ育った札幌に戻り「高屋塾」を開く。
座右の銘は「道は自分で作る、道は自分で開く、人の作ったものは自分の道にはならない」(詩人 相田みつをさんの作品より)
努力しつづけることがライフワークであり、子どもたち以上に努力しつづけている大人であることをめざして、現在は英検1級とトライアスロンに挑戦している。